亡き親友の記録

12日親友が亡くなった。46歳。白血病で骨髄移植を受けてから完治と言われる5年が過ぎやったね5歳おめでとうと喜んだのは一昨年。昨年病気が再発し、一年足らずで彼は帰らぬ人となった。
悼むにふさわしい言葉を並べても私らしくない気がする。私の言葉を使って言うならば「彼は死んじまった!」

決して忘れる事ができない彼の名言に「わに子のツイートはうんこだ!」と言うのがある。ツイッターにしろブログにしろ自分の思っていることを言葉にして吐き出す排泄行為なのだそうだ。それでいいのだと言われた私はとても納得がいきそれ以来スッキリと排泄を続けている。それは彼も同じで、とにかく言葉を排泄しなくては生きていけないと言っていた。だから私は彼のブログを彼の排泄物なのだと思ってみるようになった。そんなわけで、悲しい今の思いと頭の中をぐるぐるする彼の思い出を言葉にして吐き出してみようと思う。ただ自分のためだけに。

彼はいつも大きなカバンを持ち歩いていた。そしていつもそのカバンの中からはたくさんの様々な物が出てきた。ファイルやらチラシやらアイディアを殴り書きしたようなノートやらCD・・・とても大事にしていた素敵な布織物のペンケース。ある時はそんな枯れ枝のような細い体ではさぞかし重かったろうに私に貸してくれるためのマンガ本がどさっと。いつも会うたびそのカバンの中身は何が入っているのだろう、何が出てくるのだろうと楽しみだった。

中身が知りたいと思った物はもう一つ。彼の頭の中だ。とにかく彼は話題が豊富で次から次へといろんな話が出てきた。美術、製本、料理、哲学、写真、酒、コーヒー、トタン、インド、ムーミン・・・特に大好きな音楽に関しては留まることがなく言葉があふれ出してきた。彼の世界観は独特で私には理解不能な事も度々、頭が???になりながらも聞いているだけでとても面白く楽しかった。頭の中はどうなっているんだろう?不思議だった。
もし彼がはいどうぞと頭を見せてくれたとしても、頭蓋をパカッと開けてちらっと覗いたその中身は私の知識では及びもつかないような物がぎゅうぎゅう詰まっており、あ~~~いややっぱり結構ですとそそくさと蓋を閉めすーっと押し戻してしまうんだろうなと想像したらなんだか笑えてきた。

仲間数人と酒を飲み珍しく記憶を無くした事があった。彼もその時記憶をなくしたそうだ。二人とも覚えていた唯一は「茶臼」の話題でゲラゲラ笑い転げていた事だった。「茶臼」と言うのは性技四十八手の中に数個出てくる。つまり二人して下ネタしか覚えていなかったのだ。そもそも何で茶臼の話題になったかというと、彼は我が町大鰐の銘菓「茶臼餅」が大好きでどうしても食べたいと言った事から始まった。それからというもの会う機会があれば私は茶臼餅をプレゼントした。ひどい口内炎で満足に食べれない時でも茶臼餅はつるんと喉に入るとたいへん喜んでくれ、私も嬉しかった。
つい最近、何故「茶臼」を知っていたかというと、どうしてもどうしても茶臼餅を食べたくてネットで調べていたら「茶臼」に行き当たり、特別な知識はなく技を試してみたことはないのだと教えてくれた。な~んだとちょっとがっかりした。できればエロエロな男のままでいてほしかった。

彼が娑婆で最後の酒を飲んだ時とびっきりの美女4人に囲まれていた。美女の中にはもちろん私を含む。その数日前に会った時、彼は普通の事がしたいと言った。普通?私は普通とは何かが分からなかった。その時彼が望んでいた普通の事は「普通の居酒屋で刺身が食いたい!」だった。だから普通だけれども絶対うまい刺身を出してくれそうな店を探した。しばらく外泊はできないからと急遽決まった忘年会で「娑婆の刺身はうまいね~」と満面の笑顔で何度もそうつぶやき美味しそうに食べていた。体調が悪くて大好きな赤ワインは一口二口。それが私の目にした最後の彼の姿。
娑婆で普通の楽しい事ができるように頑張って治療に専念するよと言っていたっけ・・・。

彼と出会って3年あまりしか経っていない事に驚いた。たった3年か。白血病の彼と出会ってから病とは死とは絶望とは老いとは・・・それまで真面目に考えたことがない様々な事を考えるようになった。考えた所でそれはただの想像でしかないのだといつも思った所詮私は「今」健康なのだから。それでも想像は続いた。目が覚めるといつもの部屋の天井がまず見え、食べて仕事して遊んで、またいつもの布団で眠る。「いつも」ということがたぶんとても幸せな事なんだろうと想像した。そのいつもの中にでもちっちゃい幸せを見つけてみようと思った。
彼は最後に「普通」という課題を残していった。普通とはなんだろう?普通に食べ普通に歩き普通に友とカフェでおしゃべりをする。これからの私の人生「普通」ということがどんなことなのか想像して生きてみようと思う。

やはり私には言葉での排泄行為が大切なのだと思う。こうやって書いていると心が落ち着き、ただただ悲しいだけの気持ちが違うものへと変化している気がする。拙い言葉の羅列に彼は「わにちゃんらしくていいんじゃない♪」と言ってくれるような気がする。
今私の頭にぽっかりと浮かんでいる彼は、大好きな音楽を聴きながら鼻歌を歌って点取り占いを描いている♪わにちゃんできたよ~っと彼のブログが更新。彼ならできそうな気がするんだけどな~♪

『「40過ぎてからできた友は本当の友だちだ」とよくカッチャが言ってたっけ。ありがたし。』
こちらこそありがたし!!!

最後にやはり一応写真ブログなので写真を載せよう。以前upしたことがあるけれど彼が撮ってくれた私の宝物。撮影narajin
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by tu-girl | 2013-01-14 22:42 | ひとり言